事業会社を支えるスタッフ部門の役割とは?
シライ君
「ではこれでグループミーティングを終わりますが、何か言い忘れたことのある人はいませんか?」
営業Aさん
「業務に直接関係することではないですが、いいでしょうか。」
シライ君
「はい、いいですよ。」
営業Aさん
「いつも事務所にいるスタッフの人って、何をやってるんでしょうか。販売予算を持っているわけでもなく、楽そうですよね。」
営業Bさん
「営業ばかり稼げ稼げと言われるけど、あの人たちを減らせばその分利益が増えるんじゃないですか?」
シライ君
「う~ん、確かにスタッフの人が何をやっているのか、僕もよく知らないです。ヤマネ部長に聞いてみるので、次回のグループミーティングで回答しますね。」
シライ君
「ヤマネ部長、グループミーティングでこんなことがあったのですが、スタッフの仕事ってどの様なものなんでしょうか。」
ヤマネ部長
「そんなことがあったんですね。スタッフの仕事はなかなか理解されないところがあるので、簡単に説明しましょう。」
ヤマネ部長
「では、ここでは事業会社、ざっくり言うと、金融会社、法律・会計事務所、コンサルティングファーム以外の会社で働く人の仕事や役割がどんなものか、整理してみましょう。
まず、事業会社の活動は大きく分けて4点あります。
①資金調達活動
②投資活動
③営業活動
④資金分配活動
順番にみていきましょう。
1つ目は資金調達活動です。
銀行から資金を借り入れたり、既存および新規の株主から出資してもらうことです。
事業活動を始めるとき、最初に必要なものがお金です。
人を採用して給料を払ったり、部品などの資材を購入して代金を支払うために必要です。
事業活動を開始したあとも、大きな金額の投資、例えば工場の設備投資やM&Aを行うときには、追加の資金調達が必要になることがありまね。
また、日々の営業活動で運転資金が足りなくなりそうな場合も、追加の資金調達が必要になることがあります。
2つ目は投資活動です。
不動産購入、工場の設備投資、M&A、有価証券購入などを指します。
1つ目の資金調達活動で得たお金をどのように使うか、これが次の活動です。
工場が無ければ土地を買うことから始める必要があるかもしれません。
メーカーなら製品を作るための設備投資が必要ですね。
事業を一足飛びに大きくしたり、技術力や販路など、足りないピース埋めるためにM&Aを行うかもしれません。
3つ目は営業活動です。
ここでいう営業活動というのは販売活動のことではなく、材料を仕入れて製品を製造し、受注・販売して代金を回収するまでの活動全体を指します。
物流や経費の使用、アフターサービスなども含まれます。
ちなみに、企業に勤めている90〜95%の人が従事しているといわれる活動が、営業活動です。
わが社に限らず、工場や販売に携わる従業員が多いのではないでしょうか。
4つ目は資金再配分活動です。
事業への再投資、銀行などへの利払い・元本返済、株主への配当が該当します。
1つ目の資金調達活動から3つ目の営業活動によって得られた利益を、事業への再投資や、銀行などへの利払い・元本返済、株主への配当に充てます。
なお、資金調達活動は外部からの調達、資金再配分活動は内部からの調達、と区別されます。
このように、企業は4つの活動を繰り返すことにより事業を継続しています。
営業活動で述べたとおり、企業に勤める90〜95%の人が営業活動に従事していますので、資金調達活動、投資活動、資金再配分活動に従事しているのは5〜10%程度の人だけです。
また、M&Aなど極秘裏に行われる活動もありますので、営業活動以外の業務が広く知られないことはよくあります。
そして資金調達活動、投資活動、資金再配分活動に従事しているのは、多くの場合スタッフと呼ばれる部門の人ですので、AさんとBさんのような疑問や不満を持つことは致し方ないと思います。」
資格対策ドットコムシライ君
「スタッフの人の業務は、とても幅が広いんですね。勉強になりました。」
ヤマネ部長
「せっかくですから、Aさん・Bさんだけではなく、シライ君の課のメンバー全員に説明してあげてください。」
シライ君
「はい、次回のグループミーティングでメンバー全員に説明するようにします。ありがとうございました。」
シライ君
「・・・というわけで、スタッフの人はとても幅広い業務に携わっていることがわかりました。質問や感想などありますか?」
営業Aさん
「ヤマネ部長に確認していただいてありがとうございました。知らないことがたくさんありましたけど、M&Aとか面白そうですね。やってみたいなぁ。」
営業Bさん
「営業じゃいつも売上予算に追い立てられてる感じがするから、そうじゃない仕事もいいですねぇ。」
シライ君
「そ、そうですね。皆さんのスタッフへの理解が深まってよかったです(汗)(おいおい、頼むから転職するとか言うなよ...)」
頑張れ、シライ君!